秋晴の日曜日だ。
久々一日を通してのオフ日に、不二山家へと訪れた小波美奈子を迎えた不二山嵐は、いらっしゃいよりも先に予想外だと言わんばかりに首を傾げた。
「何でコスプレしてねぇの?」
「え、何で!」
突然の嵐の発言に、思わず切り返す。ニットワンピースという出で立ちでは彼氏のお宅へ訪問するには“不正解”だったのだろうか。
部屋に通され、嵐はゆるりとベッドへ腰を掛けた。美奈子も倣って、柔らかいビーズクッションへと落ち着く。
「新名から聞いたんだよ。今日はコスプレしてるヤツに、なんか英語を言ったらエロいことして良いって日だって・・・」
ハロウィンのことだろうか。新名は本当に不要な知識を嵐に植え込んでくれる。
一体どう説明したものだろうと、ごくりと美奈子は固唾を飲んだ。
恍惚と口に笑みを乗せる嵐は、ここのところ良く見せる“悪い顔”だ。
人前ではしないにしても、ここのところボディタッチやパーソナルスペースが狭まった嵐だ。
直接的に“エロいこと”と言うからには、何かを期待しているに違いない。
決してイヤということではないが、“学生のうちは真面目なお付き合いを”と言い出した嵐にも関わらず、最後の一線以外のことはディープに至っていたことに、今回こそは挿入されるのではと美奈子は貞操の危機を感じた。
そんな美奈子を余所に、そうだと言わんばかりに嵐がひらめきのままに拳を叩いた。


「オープン ザ セサミ!」


突如嵐から飛び出た言葉に、美奈子はぱちくりと瞬いた。
その美奈子の様子に、違うの? と嵐は首を傾げた。
様子を伺う嵐の表情に可愛いと胸をときめかせたが、ここでもし正解を謳ったとしても自分の身を危険に曝すだけだと美奈子は思考フル回転で返答を弾き出す。
「嵐くん」
うんうん唸っている嵐の額にぺたりと手のひらを当てて、気を向けさせる。
「わたしコスプレもしてないから対象外だし、飴ちゃんも持ってるから嵐くんが正しい英語の呪文を言っても無効だよ?」
美奈子の尤もな説得に、嵐は悲壮を乗せた表情を見せて。
ささやかに嘆息を吐いて、頭を振った。
「やっぱ俺も日本人だから無理だ。まどろっこしいのもメンドくさくて無理」
「クリスマスだって興味示さない嵐くんなのに、急にどうしたのかと思っちゃったよ」
頭を振る嵐に、美奈子も思わず笑みが零れる。
美奈子の言葉にも嵐が大きく頷いて、そのまま口端で満悦を表現するように弧を描いた。



「お菓子はいらねぇからエロいことさせて」



あまりに直接的な表現に瞬時顔を赤らめた美奈子の頬を、嵐の骨ばった指先が確実に捕える。
腰に腕を回され、抱き込まれたら背中にしがみつくことしかできない。
合わさった唇は執拗に絡み合って、ようやく離れた時には銀の糸が二人を繋いで、ふつりと途絶えた唾液が美奈子の口元を淫らに汚して。濡れた白い顎と口付けの余韻に痺れる舌先に嵐の唇が吸い付いて、淡い水音に意識が戻りかけた時。
指は挿れていい? と耳を舐るように乞われ、美奈子は頷くことしかできなかった。






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嵐さんドスケベ説。





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