耳裏で繰り返される熱い吐息に眩暈がする。
汗ばんだ精悍な背中に腕を回すと、身を委ねてくる。
裸の乳房にサスケの鍛えられた胸板が重ねられる。恥ずかしいことは相変わらずだが、それよりもサスケが身を委ねてくれることが嬉しかった。
「・・・なんだ?」
思わず笑いが零れてしまって、漆黒の瞳に訝しがられる。
なんでもない、と言えるほど呼吸も整っていなかったからサスケの首筋に鼻先を付けて否を示す。
わずかに身動きするだけでも、花筒に未だ埋まる“彼”を感じてしまいそうで危ない。
自分から口付ける勇気は未だ持ち合わせていなかったので、身を伏せてきたサスケの皮膚が唇に当たるのを良いことに、唇を宛がう。
本当は背中に回した腕に力を込めたいのだが、体力消耗して力が入らないのと、未だにサスケの想いが汲み取れないということに行動するのに阻まれた。
この“うちはの家”での生活は箱庭でしかない。
サクラの想いの丈は要求されなかった。
サスケに到っても、また。
その中でサクラの想いをサスケに知られ、拒絶されなかった。それだけで奇跡なのだ。
それ以上のことを望んではいけない。
そう、思う。
ぼんやりしているうちに呼吸が整い、サスケが身を起こして結合部を外す。
サスケは、もうこの夜はサクラを抱かないだろう。
なんとなく、サクラは思う。
やはりサスケは義務で抱いているのだろうか。
サクラに課せられた任務をいずれ遂行するための。
ならば、何故、今晩抱いたのだろうか。
ならば、何故―――――。
(精処理って言われたら、それまでだけど)
だけど。
いつから。
どうして。
疑問はたくさんあった。
聞けばいいのだ。
ただ、それをしないのはサクラがこの関係を崩したくないから。
与えられている任務を利用して、愛する人に触れられる。その時間を一刻でも延ばしたいのだ。



『―――――うちはの子を成せ』



綱手から下された、忍として最後の任務を思い返す。
うちはの―――写輪眼の血継限界を繋げと。
忍の任から解かれた自分はともかく、サスケは現役の木の葉の先鋭だ。
命を晒す任務がついて回る。
なおさら、逸早く後継ぎとなる人物を孕む必要があるように思えてならない。
それだというのに。
シーツに寝そべりながらぼんやりと思考を廻らせるサクラに構わず、役目を終えた避妊具をなんでもないことのように、サスケの右手は屑篭に放った。
避妊具。
サクラがサスケの子を身篭る可能性を低確率にする、避妊具を用いてのセックスの理由。
思わず問い掛けそうになって、慌てて口を噤む。
「・・・サクラ?」
ううん、と頭を振った。
眼を瞑る。
気付いていることを知られないように。
なにより知らない方が良い。
そうすれば、自分が傷つかなくて済む。
だから。





「おやすみなさい」





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