パタンと扉が閉まる。
それが合図となって今日が終わる。
遠ざかるサスケの足跡を辿り、サクラは振り切るようにきつく眼を瞑り、毛布を頭から被る。
きっかけがなかった。
だから一歩を踏み込めなかった。
日が昇れば朝が始まり、日が沈めば夜が更け、一日が終わる。
また、次の日も同等の日常が繰り返され、そうして日々が繰る。
そしてまた日は昇る。











瞼に当たる朝陽は凶暴的にサクラを覚醒に導いた。
真夏であれば尚更。
「ん・・・」
眩しさと倦怠感に目を開けるのは躊躇われた。
もう少し寝たい。
ここのところ浅い睡眠を繰り返していた。
昨晩も中々寝付けず、朝方になってようやく寝付けたようなものだった。
布団の中に潜り込もうとしたところではたと気付く。
いない。
(サスケくん・・・!)



「サスケくん、起きるなら声かけてくれたっていいじゃない!」
洗面台に行く途中、リビングに黒髪を見つけて朝の挨拶よりも不平を漏らしてしまう。
すでに専業主婦の身なのだ。せめて夫が出かけるまでの身支度くらいは手伝いたい。
(たしか、今日から出国だって言ってたのに)
そもそも起こしてもらおうという魂胆もどうかと思ったが、起きれないのだから仕方ないとそれは初期段階で放棄した。
サスケはすでに黒装束に身を固めて、テーブルに着いていた。
「サックラちゃーん、おっはよー!」
「あれっ?! ナルト?」
ダイニングテーブルに勝手に着いている金髪は紛れもなくナルトだ。サスケに対峙する位置で、ナルトもいつでも出立できそうな装束だった。
こんなに朝早くどうしたの、とリビングに入ろうとしたところで、いつの間にか立ち上がっていたサスケに頭部を上から捕まれる。
「いいから。着替えて来い」
浴衣を併せただけだった自分の身なりを思い返し、自室へ戻る。
朝に弱いナルトが朝から出向いてくるのは珍しい。
サクラがリビングに戻ると、ナルトが勝手に冷蔵庫を開けているところだった。
牛乳を取り出し、一気に飲みきってしまう。
「今日の任務が延期になったんだって」
その連絡と、朝飯もらってこうと思って! と屈託なく笑ってみせる。
「まぁ今回の任務は砂隠れも絡んだ内容だったしな。我愛羅に今のうちに恩を着せとくんだってばよ」
ニシシと笑って見せたナルトは、この任務の本当の意味を捉えていなかった。きっと。
助かった、と思う反面、箱庭での生活を思い知らされる。
サクラが班から外されたことにより班編成が再度行われ、サスケは国内での任務であるCランクが主となる任務に就くようになった。
カモフラージュのように国外任務を言い渡されることもあるが、大体が着任する前にメンバーから外される。
里の財産となる血継限界の命を晒すリスクを、里としては極限にへつりたいのだろう。
それほどうちはの復興を急かされている現状にあるというのか―――今の5つの大国で力の均衡に差はないはずだが―――木の葉の上層部の考えることは尽く理解できない。
サクラに到っては里の人間が出入りはするものの、サクラ自身がうちはの敷地から出ないよう配慮されている状態だった。



サスケが用意した朝食を三人で平らげ、火影に呼ばれているというナルトは早々に出て行った。
「ほんっとうに忙しない・・・」
リビングを片付けながらサクラが苦笑する。
アカデミーの頃から何も変わっていない。
自分はもちろんのこと、ナルトですらそうだった。改めて思うと可笑しくて仕方ない。
ふと視線を感じて振り返ると同時に、サスケの右手がサクラの懐に侵入した。
そのまま肩から衣服を肌蹴て肌を剥き出しにする。
チューブトップ型の鎖帷子に小指を引っ掛けてずり下ろす。
ささやかな乳房が朝の陽光に照らされ、昨晩の名残が明らかになる。
サクラの僅かの身動きに桜色の頂は誘うように揺れた。それに逆らわず、サスケの唇が捉え、いやらしく音を立てて舐めしゃぶる。
「さ、サスケ、くん」
「さっき、聞いてたろ? 俺の出国の任務はなくなった―――お前の"任務"に、付き合ってやるよ」





サスケは丹念に、サクラの身体を拓いて性行為を行う。
必要のない避妊をしての性行為を。
明るい室内の恥辱が勝る中で、サスケは上半身に施した愛撫だけでサクラの理性を奪い堕とした。
ほんの数時間前と同じように。
サスケに抱かれるようになってこの半年で、サスケはサクラに潜在する性感帯を尽く暴き、サクラも惜しみなく身体を捧げた。
きっと、サクラの体内でサスケが触れていない箇所はどこもない。
口付けから始まり、サクラの性感帯を愛撫し皮膚感覚を高めていく。
乳房を揉みしだきながら指先で尖った蕾を弄くり、乳房の下に唇を寄せられる。
いつか見つけられた左乳房の麓に隠れた性感帯は殊更執拗に愛撫され、ぐずぐずに溶けて、膝を立てることすら難しい。
ぐっしょりと濡れそぼった下着をゆっくりと抜き去り、白い脚をサスケの肩に掛けさせ広げる。
骨ばった指先が溢れた愛蜜を絡ませながら花弁に埋め込んだ。
膣壁を指の腹でなぞりながら、それでも感じる箇所をわざと外してサクラの理性を根こそぎ奪っていく。
人差し指と中指に花筒を弄ばれながら、欲しいところに来てくれないもどかしさにサクラの腰が疼く。知らずサスケの手を押さえ込んで、自慰をするように腰を揺らめかせた。
「あ・・・ァア・・・っ!」
快楽に沈むサクラに咽喉奥で笑って見せて、サクラの中に沈ませたサスケの指が快楽の一点を暴き出す。
ただ、それだけで絶頂へ押し上げられ、より大量に溢れた愛蜜がサスケの手のひらをしとどに濡らした。
サクラはサスケに全てを捧げているし―――奪われている。
任務を理由に、身体を使ってサスケを引きとめるにはこれしかないのだ。
遊女のようだと思われようが、サスケを引きとめる一因であればそれでよかった。
生娘の自分がサスケを悦ばせることなどないに等しい。
だからこそ。
サスケの腕がサクラの両の足首を持ち上げ、濡れきった急所を光の下に晒す。
無防備な花襞に呼吸を感じて、息を呑む。どんなに恥辱に苛まれる格好をされようとも、拒絶の声は上げなかった。
サクラが恥辱に耐えているのを分かって、サスケが喉奥で笑っているのを知っていながらも。
ちろりと、濡れた柔らかなものに花芯を捕えられる。
声にならない悲鳴を上げ、背を仰け反らせる、 より大量の愛蜜が花筒から溢れて臀部すら濡らす。
早くサスケに埋めて込んで欲しくて、腰が思わず疼いた。
その様をまるで宥めるように、硬くなったサスケの穂先を花唇に咥えさせられる。
「サスケく・・・っ」
零れる涙を掬うように、目元に唇を宛がわれる。
その柔らかな接触に胸奥が熱くなる。サスケを求めて濡れた眼差しを上げると、漆黒の瞳がじっと見据えていた。
「あっ、ア・・・っ!」
サクラのカンジルところを的確に狙って、欲望の先端で抉りきる。
挿入の衝撃に馴染ませるように、直後もゆるく腰を押し付けて奥に進む。
たまらなくなって引きそうになる細腰を強引に抱き寄せ、蠢動する花襞に逆らって律動は激しくなった。
「ふ・・・ん・・・っ」
裸の肌が重ねられただけで露わになるようになってしまった乳首は、サスケの愛撫を待っていた。
それを見逃さず、サスケの舌先が蕾を可愛がり、益々誇張していく。
誇張するたびに内側からちくちくとサクラを苛んで、刺激を求めて身体をくねらせる。
無意識に自分で摘もうとするサクラの手をシーツに縫い止め、サスケが白い歯と唇で執拗に弄った。
口で施す愛撫ということもあり、両の乳首同時に愛してくれることはできない。
片方を丁寧に愛してくれている合間、たまらずもう片方が疼いて痛みにすら苛まれる。
「ふ・・・ぇ・・・っ」
身体を揺するにも花筒にサスケ自身を埋め込まれ、杭を穿たれているように身動きができない。
しかも、先ほどまでのピストン運動もいつしか止んでしまった。
奥を突いて欲しいのに、ゆるゆるとサスケの腰が引いていってしまう。
「さっ、サスケく・・・っ」
サスケの所作にたまらなくなって首を振って纏わるように眼を向ける。
見上げたサスケの口角が笑っているようだった。
嘲笑われていても構わなかった。
求めるように顎を上げると、当然のように口付けられる。
と、同時に最奥までペニスを押し込まれて息が詰まる。
振り落とされるんじゃないかと思えるほどに激しい律動の合間、乳房を弄られ乳首を摘まれる。唾液を絡み合わせて飲み切れない唾液が口端を零れていった。
「ん、ん、ぁう・・・」
室内を埋め尽くす濡れた音が下肢からのものか唇からのものなのかもわからない。
律動が激しくなり、子宮口まで届くのではないかと思えるほど奥を突かれる。
突き抜けるような快楽と疼痛は紙一重だった。
達した反動でサスケを締め付け、もっとサスケを欲して花襞は蠢動してペニスに絡みつく。
「は・・・ア・・・っ!」
覆い被さる精悍な身体の弛緩で、彼も達したことを知る。
以前のように無遠慮に膣に精液を吐き出されることもなく。
人工的な膜越しにサスケの欲望を感じた。



サスケがサクラから身を起こし、いつも通りの処理をする。
サスケが抜け出た後には喪失感しか残らず、愛液に塗れたコンドームがたまらなく恨めしい。
サスケの精液を受け止めたコンドームがたまらなく恨めしい。
役目を終えた避妊具はサスケの手によって屑篭へと放り投げられた。
欲しいのに、と言ってはみたものの、声が掠れて音にはならなかった。
サスケに腕を取られ、浴衣に袖を通した。
その合間も睡魔に襲われ、瞼がとろとろと落ちてくる。
記憶はないに等しかった。
眼を開けることすら億劫だった。
考えるのも、何もかも。
だからサクラは一時の眠りに落ちる。
胸に痛みを抱きながら。












―――――そして。
浅い眠りから覚めて、サスケの腕の中で息を詰める。
サスケは閉じ込めるようにサクラに覆い被さり、体重を掛けないように、掌はまるで愛でるように。
奪い去るように快楽に貶めた先ほどとは全く違った触れ方で。
愛撫や悦楽を呼び覚ますものではなく、サクラの形を辿るように、丁寧に。
それも不確かなもので、触れそうで触れずに去っていく。
眼を瞑っていても分かる。
時折皮膚を擽るサスケの呼吸。掌の体温。
すべるように時折薄い唇を宛がわれ、何事もないように去っていく。
顎に指を添えられ、接吻けられるはずなのに。
口付ける距離にあるはずなのに、触れることなく。
抱き寄せるようにだけ添えられた手のひら。
それは優しさしかなかった。


―――――気付いたのはつい先日のこと。


心地よい体温と接触に覚醒したのだ―――触れるという接触があるわけではなく。
ただ、添える程度の接触。
夜着越しに、わずかに掠める体温。
息を潜めて、サスケの掌を感じた。
抱き寄せるように触れた手のひらは優しさだった。
触れずとも重なる体温。
肌を擽る呼吸。
目を開けなくても分かる。
顎を指で掠めても口付けることはなく、額に羽のように唇を宛がわれる。
ただ、ひたすら、愛でるように。
一頻りの愛撫の後、サスケの体温が退く。


(・・・まるで)


(誰かを想って)


心が震えた。
堪えなければならない、分かっていたことだと納得させようと瞼に力を込める。
それでも。
「・・・ッ」
咽喉が震えて嗚咽が漏れた。
そして去っていく温もり。
「・・・サクラ・・・?」





それがきっかけになった。





ブラウザバックプリーズ






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