うちはサスケは独白する。











火影の命を受け、春野サクラがサスケの元へやってきたのは半年ほど前のことだ。
厳重に結界を張られたうちはの敷地に人が来るのも、サスケが人と会うのも久々のことだった。
「一気に大量のチャクラを練れないようにすること、定期的にチャクラの潤滑を行う必要の枷を附けることになったの」
淡々と、ひどく淡泊な口調だった。
見慣れたはずの翡翠色の瞳は、くるりとしたガラス玉のように無機質でその奥を読み取ることができない。
「サスケ君が、木の葉の里で忍として復帰するための条件」
白い指先が火影が発信した書簡をゆっくりと捲り、サスケ自身に見せるようにテーブルに広げてみせる。
それを施すことで、この軟禁生活からも解放されることが明記されているのだ。
そうか、と頷いたサスケにサクラは書簡をテーブルに叩き付けて立ち上がる。
「――――だって! サスケくんはもう木の葉を裏切らないのに!」
「だからお前は甘いんだよ」
クツ、と喉奥で嘲笑う。
「忍は騙し合いだって、今更だろ・・・?」
サスケのその一言にサクラは一度瞬きするだけで、再び瞳に現わしかけた感情を瞼に隠した。
サスケにとって木の葉に戻って半年が経ち、どう扱われようとどうでもよかった。自棄ではない。ただ、自分のポジショニングが図りかねた。
それよりもサクラが見据える自分のポジショニングを認識したかったのだ。
だから。
「―――――誘ってみろよ」
その、サスケの提案にサクラの瞳が揺れたことを見逃さなかった。
それでも「いいよ」とサクラは溜め息交じりに返答した。なにがいいものか。
娼婦でも気取っているのだろうか。寝室でいいか、などと聞いてきたものだから、嗜好は別にないことだけを伝えると冷たい指先が裾を引いてサスケの寝室へと向かった。
扉を閉めて、後戻りできなくしたのはサクラだった。
身を屈めて合わせようとした唇が直前、サクラが息を震わせたことに心が躍った。
目の前にあるこの肢体に触れるのは己が最初なのだと。
喉奥から笑いが込み上げた。
ひどく低く、昏い、サスケ自身ですらそう認識するほどの。
ベッドの上で理性は簡単に崩れて溶けた。
いつの間にか幻術を施されており、空間は元より、サクラを組み敷いているはずだというのに女という認識しかできない男を莫迦にしたような幻術だった―――今となっては忘れたが、ひどく魅惑的で、甘ったるく胸焼けするほどの。
何より、甘やかな幻術よりも、ぎこちなく震えるサクラの肢体を貪りたかった。オブラートのように何層にも重ねた幻術をその都度破りながら、垣間見える痛みに耐えるサクラの表情に欲情した。
火影からの命を―――心臓にチャクラのリミッターを附ける術を―――サクラは行為の最中に仕掛けてくるかと思いきや、サスケが施す手管にサクラはどこまでも従順だった。
無遠慮に膣に精を吐出し、最奥まで突きこむ。
最後までを吐出して、萎えた自身を濡れた花筒からズルリと抜き出した。
一度で収まるとも思えなかったが、何よりサクラの純潔を奪った印を見たかった。
瞬間、サクラの指先がサスケの左胸に触れる。
(心臓…!)
しまった、と。
サクラから身を起こして初めて気付いた。
背に回された指先も首に回された腕も、すべて。彼女はサスケの体を使って印を組んでただけのこと。
見下ろした翡翠の瞳は帳面表力いっぱいに涙を溜めて、わずかに喘いだだけで目尻を涙が伝い落ちて行ったのをただサスケは見届けることしかできず、サクラがゆるりと瞬いた瞬間、サスケの意識は途切れた。
次にサスケが気付いた時には、その裸の左胸には見覚えのない術式が組まれ、部屋に一人残されていた。
幻術の繰り返しにより夢現にあった意識も、サスケが寝そべっていたシーツに散った行為の残滓とサクラの純潔の跡が現実であることを知らせる。
途中まで力任せでシーツを剥いだようで皺だらけで寝台中央部でわだかまっていたがサスケの体重に敵わなかったのか途中放棄されそのままにされていた。
それが、最初。
一週間しないうちにまたサクラがやってきて、木の葉の額宛とスリーマンセルの内示を持ってきた。
それが、2回目。
幻術は不要だと告げたサスケに、サクラは律儀にもまた幻術を仕掛けてきた。
それからも回数を重ねる度に、サクラの無機質な翡翠色は何も映さず、よりくすんで視線はサスケから外された。
逸らされる瞳を追いかけて行為は執拗になり、行為は回数を重ね幾度も繰り返した。
サクラがサスケを忘れたあの日まで。







サスケはゆっくりと眼を開ける。
腕の中の肢体は小さく寝息を繰り返していた。
この穏やかに、サスケに身を委ねるサクラは“何”なのかと。
だからサクラがサスケを忘れ去って目覚めたあの日―――――。
ベッドに独り取り残したサクラが目覚め、状況を把握しようとゆるりと周囲を見渡し、サスケを見つけたときの表情は本来“そう”あるべきだったものだ。
今まで抱いていた執着とも言える感情はあるべきものではなかったのだ。
半年前にサスケを訪れた際に通したあの無機質なガラス玉のような瞳ではなく、興味も好感も、むしろ嫌悪すら向けられるのが煩わしい。



(―――――ウゼェよ)



意識を離した華奢な肢体を未だ組敷きながら、サスケは独白する。








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