「いいなぁ、俺もこの家に住みてぇなぁ!」
うずまきナルトの“いつもの”駄々がうちは邸のリビングに響く。
しょうがないなぁと苦笑するサクラの隣りで、帰れ、と家主―――うちはサスケが相槌を打った。











うちは邸のリビングに居座るナルトは、“定位置”とも取れるソファにゆったりとくつろいで左右に身体を揺らしながらサスケに強請る。
「なぁなぁ、サスケェー」
「住まなくていい。来なくていい。第一、なんでテメェ日参してんだ、帰れ」
「日参できてねーもの! 本当は毎日通いたいけど、俺にだって任務があるから寄れない日があるし、それならいっそのこと一緒に住んだ方がいいだろ?」
なぁ?! と力説すべくサスケに近づいたナルトの面をサスケは手のひらで遠ざけながら、心底厭そうに渋い表情を見せた。
「だから何で“いっそのこと一緒に住んだ方がいい”って結論に至るんだ、帰れ」
「んー、もう! サスケってばあんなこと言っちゃってるけど、お前が任務で家空けてる時なんてサクラちゃん独りで寂しいってばよ? なぁ、サクラちゃん!」
「別に、やることいっぱいあるからそんなことは・・・」
ないんだけど、と申し訳程度に抵抗はするが、うちはの敷地内から出ることの出来ないサクラにとっては、やはりナルトも貴重な友人のうちの一人なので強くは言えない。
そもそも、サスケもああ言いながらも、本心ではナルトの訪問を喜んでいるのだろうとサクラは頷いた。
テーブルを挟んでサスケとナルトがじりじりと冷戦状態に突入したのも気にせず、サクラは茶を淹れようと冷戦の場となっているテーブルに湯飲みを揃えた。
「サクラ、ナルトはもう帰るから茶はいらねーって」
「言ってねぇよ?! 第一、俺ってば今来たばっかじゃねーの!」
サスケの辛辣な言葉に少なからず傷つきながら、ナルトはサクラの腕に纏わりつく。
瞬時にサスケが放った爪楊枝がナルトを襲って、すぐさまナルトとサクラに距離ができる。
二人の遣り取りをハイハイと軽く流したサクラに、いつもならば泣きつくナルトだったが、今日に限っては首を傾げた。
小さな間に、サクラはどうしたのかと振り返る。
「サクラちゃん、サクラちゃん! ちょっと立って」
急須に手をかけていたサクラは一旦手を止め、急かすナルトに倣って立ち上がる。
ナルトもサクラの正面に立った。
ここ数年でついた身長差は20cm弱。
至近距離のため、サクラはナルトを見上げる形になったわけだが、顎に手をやって不可思議に眉を顰めるナルトに、サクラも瞬きを繰り返した。
不意に、なんでもない仕草でナルトがサクラを抱き寄せる。
ガタンと音がしたのは、サスケが勢いよく立ち上がったからだ。
ナルトはそのまま肉付きの薄い背中に腕を回して、サクラをぎゅうぎゅうに抱き潰す。
「え・・・っ?! ちょっ?! ナルト・・・!」
突然のことに反応できず呆然とするサクラが我に返るよりも先に、ナルトはサクラから距離を置いてフンフンと何かに納得するように幾度か頷いた。
ナルトの謎の所作に理解できずに未だ呆けるサクラは、強い力に引かれてうちはの家紋の後ろに追いやられる。



「サクラちゃん、成長した・・・?」



何が? と首を傾げたサクラ同時に電光石火の拳がナルトを襲い、サクラの悲鳴が響いた直後、ナルトは見事に部屋の端へと吹っ飛んだ。
「痛って・・・」
麗らかな春の日の昼下がりだ。
ナルトの目の前にゆらりと立ちはだかる人影―――逆光で顔は見えないが、サスケだ。
まさか至近距離から襲うものがあるとは思わず、不覚にも衝撃丸々受けたナルトは軽く頭を振って意識をクリアにしようとしたが、それより先に首根っこを強い力が引っつかんで強制的に立ち上がらせられる。
「なんだ、サスケ・・・!」
「サクラの“何”が成長したって・・・?」
突然の暴挙に抗議の声を上げようとしたナルトだったが、振り返った先、未だナルトを掴んだサスケの瞳がひどく怒りを篭らせていて思わず言葉を飲み込んだ。
ごくり、と音を立てて固唾を飲んだナルトを確認して、サスケはゆっくりと、声高々に最期通達を述べた。





「表出ろ―――――金輪際、うちはの敷居跨げない身体にしてやる」






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さて、サクラちゃんの何が成長したのでしょうか?








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