「よ、邪魔するぜ」
「シカマル・・・? どうしたの、久しぶりじゃない!」
オレもいるぜ! とナルトも騒がしく登場したが、1年近くうちはの敷地から出ていないサクラにとって、うちはに訪問する人間以外に会うことは無いに等しかった。2日に1回は顔を出すナルトにスペシャリティは感じないのはやむを得ないことなのだ。
シカマルの登場にサクラは歓喜の声を上げ、シカマルもオゥと軽く手を挙げて応える。
そのサクラの後ろからサクラの影のように黒装束が現れたのも確認して思わず口端が歪む。
「そんな連れ去ろうだとか思ってもねぇから、殺意丸出しで睨むなよサスケ」
手のひらをヒラつかせながらシカマルが面倒くさそうに頭を振った。



今朝の日向ヒナタによる“検診”により、サクラの胎内に命が宿っていることが判明した。
どうしますか、と問うたヒナタに任務だからと答えたのはサクラだった。
うちはの子孫を成し、血継限界を絶やさないことがサクラに与えられた任務の概要だった―――――結果はどうであれ。
ヒナタも木の葉に忠誠を誓った忍だからこそ、火影の命のままにうちはの母体の変化を逐一火影に伝達することを使命として全うし、ヒナタに代わって火影の命によりシカマルが派遣されたのは、ヒナタがうちはの敷地を出て2時間も経っていない短時間でのことだった。



ナルトは客人に当たるにも関わらずリビングに先導し、いつも座るソファにどっかりと落ち着いた。
その図々しさにいいのかよ、と小さく突っ込んで、シカマルもサクラに勧められた場所へ腰を落ち着かせる。
茶の準備でもしようとしたのか、場所を離れようとするサクラを制止して座らせる。
別に、茶を啜りに来たわけではない。
取り急ぎ要件だけでも伝えなければ来た意味がない。
「“うちは”への伝令で来た」
サスケにもサクラにも当たる言い方をしたのは火影自身のことだ。
サスケはいつでも動けるようにサクラの傍らに立った。
言葉を発するシカマルを殺すのか、それともサクラを護るのか。
(らしくねーじゃねぇの)
その様子に思わずシカマルも苦笑を漏らす。
「うちはの子孫も“他”と変わらず、同様の教育を授ける。それが里の意思であって、火影の決定だ」
は、とサクラが息を漏らした。流石に緊張していたのだろう。
未だぺたんこの腹を愛しそうに撫でるサクラは、本当に最悪の事態も想定していたのだろう。
すでに生まれ出る我が子を護ろうとしているのだ。
「まぁ、昔のわだかまりに従ってたら、わだかまりでしかねぇって判断なんだろ」
シカマルの言葉にサスケが目を伏せる。
まずかったか、とも思ったが、事実なのだからどうしようもない。
過去のうちはの闘争のことがまだ木の葉の上層部では問題視される内容なことは今ではオープンになっている事項だ。
だからといって、隠したところでうずまきナルトの二の舞になりかねない。
「あのさ!」
今まで珍しく黙り込んでいたナルトが身を乗り出す。
「紅先生の時みたく全然腹膨れてねぇのに、本当にサクラちゃんの中に子どもいんの?」
「まだ三週間くらいだから全然・・・辛うじて、ヒナタが白眼でチャクラの流れで子どもができただろうっていう認識なだけだから」
ふうん、と顎を上げたナルトはイマイチ納得していないようだ。
母体のことをさほど知識なければ、ピンとも来ないだろう。
苦笑するサクラに、捻ったままの頭でナルトが更に問い掛ける。
「ちなみにさ、なんで腹の子どもがサスケの子だって分かるんだってばよ?」
え、とその場の空気が凍りついたことナルトだけが気付かなかった。
「アンタ、何言ってるの・・・?」
サクラは頬を引き攣らせる。
サスケも無表情を保ってはいるが、明らか眉間に不機嫌が現れている。
「だってさだってさ! もしかしたらオレの子どもかも知んねぇじゃん?!」
なぁ! とナルトは隣りのシカマルに話を振ったが、シカマルは眉間を痙攣させながら知らねぇよと独り愚痴た。
「どういうことだ」
「もうナルト黙って!」
すかさず問い掛けるサスケに、ナルトは続ける。サクラが静止の言葉を上げたが、サスケの意識はナルトに集中していた。
ナルトは唇を尖らせながら、結婚したからってもんじゃねぇんだろ? とまた見当違いなことをぶぅぶぅと膨らませた。
「結婚してねぇのに、紅先生もどうしてアスマ先生の子どもだって分かったんだ?」
んー? と瞳を眇めて首を傾げるナルトに言葉を掛ける人間は居ない。
シカマルは遠い記憶を思い返す。
妊娠8ヶ月の紅を見かけて、“デブった”“喰いすぎ”の単語を羅列させたうずまきナルトだ。
性交渉というものごとを知っていたとしても、その結果が“何”に行き着く事柄なのかというのをもしかして知らないのだろうかと、訝しげに見上げた。
そんなシカマルに気にすることなく、ナルトは対峙するサクラの火照る手を握り締めて懇願した。


「サクラちゃん、今度はオレの子ども産んでよ!」


ねっ! と無邪気に微笑むナルトの襟首を無慈悲な手のひらが引っつかんで強引にサクラと距離ができる。
サスケだ。
そう、ナルトが認識したと同時に玄関の外へと連れ出された。





「お前、もう一生来るな」








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すみませんでしたァー!(頭





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