白い手が、その白とは違う白の肌を曝そうと、性急に服を脱がしていく。
その合間も口付けが解かれることはなく、息継ぎのために身を揺すってもすぐに押さえつけられて唇を塞がれた。
衣服の肌蹴た素肌をサスケの手のひらが余すことなく犯していく。
彼にしては珍しく、少し乱暴さすら伺えた。
口付けの名残で、呼吸が荒い。サスケが身動きするたびにベッドのスプリングが不自然に沈んだ。
一月ほど間の空いた逢瀬だった。
手首の帷子を剥ぎ取られたところで、今まで獣のように乱暴だったサスケの動きがぴたりと動きが止まった。
「―――――誰だ?」
サクラの右掌の下、帷子に隠れて日焼けしない柔らかな肌に残る細い手首。
見逃してしまいそうな、薄紅色の痕跡。
サスケは逃さないように、その手首をじっとりと掴んでいる。
漆黒の瞳は薄紅を見つめるだけだ。
逃げないのに、とサクラはいつかの夜を思い返す。
「サスケくんの痕が、消えちゃうから」
だから。
サクラは自身の手首を口元へ宛がうと、口付けた。
それだけで白い肌が桃色に痕付く。
弁明をしたつもりだったが、今更恥ずかしくなってきた。
まるで自慰を告白しているようなものではないか。
居た堪れなくなって俯くサクラの細い手首を取ると、サスケは先ほどサクラが自身で付けた痕に唇を当てた。
と。
「―――――っ! 痛ぁ・・・ッ!!」
きつく吸い上げられたと思えば、歯すら立てられた。
手を引こうとするのに、全然手加減してくれない。
手首を掴むサスケの力も全く加減してくれない。
痛い。痛い。
刺すような痛みを超えて、皮膚が切り裂かれるような。
力任せに振り切ろうとするより前に、拘束を解かれる。
吸われた皮膚は熱を持ち赤黒く変色し、押さえつけられていた手首はサスケの指の痕が鬱血を起こして痛々しい。
どうして。
痛みからか、涙が零れる。
頬を落ちる滴を、サスケの掌が不器用に拭う。
その掌は頬を幾度も撫で、宥めるように、乞うように。
その手のひらに倣って面を上げると真摯な漆黒と克ち合った。
「お前を傷つけていいのは俺だけだ」
そして忠誠を誓うようにサクラの手を取り、先ほどとは違うやり方で白い肌を唇で愛した。
それでも手首の熱は未だにサクラを苛んで。
サスケに傷つけられた手首より、胸が痛む。
詰めていた息を吐くと、嗚咽が零れた。



ハレルヤ



「サスケくん」
サスケは俯いたまま、サクラを見ない。
硬質な黒髪を指先で撫で、そのまま剥き出しの首筋に掌を滑らせた。
―――――ごめんなさい。
嗚咽が邪魔して、巧く言葉を綴れなかったが、サクラの掌が精悍な肩に到達した時、ゆらりとサスケの上体が凭れ掛かってきた。
サスケは何も言わなかった。
それでも。
サスケが傷ついているのが分かった。
一瞬の激情でサクラを傷つけた自分を詰っているのだ。
誰よりも優しい人だから。
サクラは思う。
酷くしてくれたらいいのにと、そう思う自分は狂っているのだろう。
(ほんの少しでいい)
一生残らない痕跡を付けてくれないものかと。一瞬でもサスケの傍にいたという証を遺してくれないものかと。
忠誠心も劣情もなにもかもをサスケに捧げてきた。
暴かれた性感帯はすべてサスケのためだ。
そんなものよりも、この身体に深く燻る傷跡を付けて欲しかった。
「―――――・・・ごめんなさい」
言葉の最後はサスケの唇に飲み込まれた。
舐るように唇を愛でられる。
サスケの唇は謝罪を乗せることはなく。
その夜、サスケの手管は情熱的だった。








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