トントントン、といつも通り『うずまきナルト』の表札がかかった扉を叩く。
遠くで大きな音がして、ドタドタと玄関に向かう音が近づいてくる。
ナルトが自来也との修行から戻ってからほぼ毎日。いつも通りのこと。
ガチャリと扉が開け放たれ、明るい金髪が飛び出した。
「おっはようサクラちゃん!」










「今日、ナルトの予定は?」
「慰霊祭」
「・・・そうだけど、今日はアンタの誕生日でしょ!」
サクラはきょろりと周囲を見回して、こそりとナルトに耳打ちした。
「お誕生日おめでと」
18年前の九尾襲撃により里が壊滅状況に追いやられた慰霊の日ということもあり、あまり祝辞を述べるのは慎んだ方が良いのだろう。幼少の頃からナルトは当日に誕生日を祝われたことがなかった。
初めて7班としていっしょに誕生日―――慰霊祭を過ごした日は誕生日としての特記事項はなかったが、慰霊祭の後に問答無用でナルトの家に押しかけ、サクラとサスケとカカシとでラーメンを作ってくれた。
それがナルトにとって物心ついてから初めて誕生日に祝われた記憶だ。
「今日、慰霊祭終わってから予定ある? もしないなら一楽のラーメン食べに行こ、ね!」
「予定なんてないない! あったとしてもない! サクラちゃんとのデート第一優先だってばよ・・・!」
首をぶんぶん振るナルトにサクラは笑った。
「今日、わたしは火影さまの護衛だけだから慰霊祭だけの参加なんだけど、夕方まではつきっきりだろうから。当直じゃなかったらご馳走作ったりしたかったんだけど・・・何か欲しいものとかある?」
「サクラちゃんからのちゅ・・・」
サクラは迫るナルトの口元をすかさず押さえ込んで、ハイハイと軽く流した。
本気なのになぁ、と唇を尖らせるナルトに肩を竦める。
「サスケくんとカカシ先生も参加するからね! ・・・じゃあ“みんなからのチュー”でいい?」
えぇー、と顔を渋く歪ませたナルトはバネが弾くように面を上げた。
「あれっ? じゃあ一楽もサスケとカカシ先生一緒なの?!」
「サスケくんは慰霊祭で駆り出される中忍以上の代理で下忍のCランク任務の同行、カカシ先生は慰霊祭で上層部の護衛が終わってから合流するって」
ええぇー、と今度こそ打ちひしがれるナルトの頭をサクラが撫でて顔を上げさせる。
涙目でもナルトが顔を上げたのを確認して、サクラは微笑んだ。
「夕方までの宿題よ。考えといてね」
じゃあねと踵を返したサクラの背中を見送って、ナルトはうぅんと“宿題”の名目に頭を抱える。それでも口端が思わず上がってしまうのは仕方ないことで。





なんという至福の悩み。






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